『痴漢列車♡素人リーマン朝採れ生絞り』
相澤はIT企業に勤める齢三十のサラリーマンだ。着実な働きぶりが認められ若くして課長に昇進。部下達は厳しさの裏に時折優しさも垣間見える相澤を慕っており、課は順調に回り始めていた。そんなある冬の朝のことだ。
普段面倒なラッシュアワーを避けるため朝の早い相澤だが、その日の通勤列車は早朝ににもかかわらずやけに混んでいた。何かあったのだろうか…?そう思いながら相澤は人並みに身を滑り込ませる。大きな駅でまた人が乗り込んでくる。シャカシャカという音が相澤の耳を不快に撫でた。乗り込んできた金髪の派手な男のヘッドフォンからの音漏れだった。否、音漏れという言葉で表すには大きすぎる音量。他のサラリーマンやOLも眉を顰めており、彼が周囲に迷惑をかけているのは明らかだった。
(大丈夫かこいつの鼓膜)
ヘッドフォンの爆音に酔いしれ機嫌が良さそうにしている男の横顔を見ながら相澤はいぶかしむ。常軌を逸しているように思った。相澤は自分側の男のヘッドフォンを掴んで軽く持ち上げると、顔を近づけてはっきりと喋った。
「音量下げてください。周りに響いてる」
金髪の男は突然話しかけてきたサラリーマンに眉を上げ、面白がるように碧の目でくるりと見返した。
「…OK」
素直にそう答えポケットの中からスマートフォンを取り出すと音量を下げる。
(外国人か?何にしてもまあ良かった)
相澤は見た目の派手さの割に話が通じる相手であったことに安堵する。今日は育てた部下が大型の契約を取れるか否かの大事な日であり、電車でもめ事を起こして出勤前に余計な時間を使いたくなかった。
「お兄さん汚ねー髭生えてるけど可愛い顔してんネ」
相澤はその言葉が自分にかけられたものだと思わなかった。だから昨日不安がっていた部下の顔を思い浮かべながら、目の前の車窓を見ていた。スーツをまとった尻の丸みにするりと手のひらが重なるまで。
(ッ…?)
相澤は眠たげな目を見開き肩を僅かに跳ねさせた。しかし満員電車の中で間違って誰かの手が当たってしまったんだろうと、まだ思っていた。小綺麗な見た目でもない、中年のサラリーマンである自分の尻に触りたがる人間がいるはずはない、と--。
「ムッチリしてていいケツ…何かスポーツやってんの?」
耳を撫でる吐息と低音。金髪の男が相澤の耳のそばに唇を寄せそう囁いたところで、ようやく気付いた。自分を襲う異常な環境に。
「何してる」
「何って、痴漢」
耳元で囁いた金髪の男の手が尻から前に回り、スラックスのチャックの上を撫でる。下着の中に収まる萎えた性器の控えめな膨らみを探り当て、からかうように輪郭をなぞる指。内臓が押し潰されそうな満員電車の中、相澤は不快さに身をよじる。だがその手からは逃れらず、事情を知らない周囲の乗客が迷惑そうな表情を浮かべた。
想像以上に自由の利かない状況を相澤が再認識したところで男の指はスラックスのボタンを外しチャックを開いた。公共の空間で自らのグレーのボクサーパンツが露出する衝撃。瞠目した相澤が咄嗟に男の手首を掴むと、強い力に忍び笑いが返った。
「イッテ…力強えーの」
「変態が。駅についたら職員に突き出す」
「『男に痴漢されました』って言うの?当然俺は『こんな髭男に触るわけない』って言うし、駅員さんの前でしばらく言い争いだな。痴漢の立証って大変らしいぜ?会社遅刻しちゃうな」
唐突に相澤の脳裏に浮かぶ部下の顔。今日遅れるわけにはいかない――そう思った一瞬の気の緩み。
「っ…、」
下着の中に無遠慮に差し込まれた手に陰茎を握り込まれ、相澤は息を飲んだ。久しぶりの他人に触られる感触、生ぬるい体温。相澤の肌に瞬時に冷や汗が滲んだ。交際相手がいたのはもう一年も前で、最近は仕事が忙しくしばらく自慰も出来ていなかった。しかし、だからといって見知らぬ男に突然悪戯に下着に手を突っ込まれ快感を感じるほど飢えてはいない。
「離せ」
鋭い目を向け、冷ややかな声で威嚇する。男の手首をあえて痛むように渾身の力で掴んだ。自分に対してこんな行為を働く明らかに頭のおかしい男に、急所を握り込まれたことに怒りと、焦りがふつふつと沸く。
「怖い?」
男は相澤の動揺を見透かし、それを口元で面白がりながら相澤の鈴口のくぼみを親指の腹でクリ…となじる。
「怖いわけあるか」
「大丈夫、痛いことはしねーよ。…痛がるトコも見たくなる顔だけどネ」
男はからかうように相澤の亀頭の先端の丸みを指で弄り回し、カリに被っていただぶついた包皮をそっと引き下ろす。
「っ、ぁ」
傘のように膨らんだ亀頭が幹に向かって窄まるカリに触れられ、相澤は喉の奥で微かな声を上げてしまう。元々カリは陰茎のうち最も感度の高い部分だが、常に皮に覆われた相澤のそこは露出されると人一倍過敏だった。男は手の中で徐々に膨らみ始めた相澤のペニスに唇の片端を持ち上げる。
「興奮してビクビクいってる…仕事の鬼って感じの顔なのに、エッチな体」
囁きながら男が指で輪を作り、カリの上を絞り上げるように少し強い力で扱く。数度往復されただけで相澤の肉茎は膨張し血管が浮き立つほどに張り詰めてしまっていた。仮に男が手を離しても、スラックスの自然なたゆみだと言い訳できない程にぬくりと育ってしまった。こんな、四方を人に囲まれた公共の場所で。
「やめ、ろっ」
相澤は男の腕を強い力で引きはがそうとする。
「あーほらほら、あんたの肘が隣のお姉さんに当たってる…迷惑かけないの」
男に吹き込まれ、相澤は咄嗟に腕の力を抜く。確かに隣のOLは相澤のいる方とは反対側を向いていたが、押された腕を困ったようにさすっていた。相澤の動きが止まった瞬間、その耳に囁かれる言葉。
「遊ぼうぜ。次の駅に着くまでにお兄さんがイかずに我慢できたら俺の負け。即イタズラやめて降りる、何なら痴漢で自首してもいい」
「は…?」
「その代わりお兄さんがイッったら俺の勝ち。終点まで俺の言うこと聞いて貰おうかな」
ククッと聞こえる笑い声。相澤は男の異常さに眉間の皺を深くしたが、ちらとドアの上の電光板を見る。特別急行のこの電車が次に駅に止まるまであと数分。何をするか分からない男をとりあえずここで賭けに乗って大人しくさせ、次の駅に着いたと同時に問答無用で駅員の元へ突き出せばいい、相澤はそう判断した。
「…好きにしろ。約束は守れよ」
「オーケイ」
相澤も齢三十の男だ。自慰の経験は数え切れない程にあるし、同時にその中で射精をこらえることも日常的にしてきた。見知らぬ男に簡単に射精させられるような堪え性のない人間ではない、その気になれば簡単に興奮を鎮めることができる――相澤は自らについてそう思っていた。
カタン、ゴッ…と車輪がレールと擦れ合う音。よく整備された道を決められた通りに走る列車の立てる音は少なく、静かだった。仕事に向かう憂鬱な緊迫感で満ちた早朝の車両にも、お喋りを楽しむ乗客はいない。
「…、……」
クチュ…とスラックスの中から微かに立つ水音に耳が赤くなる。相澤の肉茎は鈴口から先走りをこぼし、硬く反り上がって張り詰めた幹にまで伝っていた。男の指の輪がトロついたその粘液を上まですくい上げ、すでに先走りの膜を被った亀頭を一層湿らせ、幹全体に塗り拡げる。ぬるりと男の指の輪が竿を上下するたび、熱のこもった下着の中から粘性の水音が微かに響いてしまう。電車の振動音、誰かの自然な息づかいとは違う、明らかに異質で異常な、音。
「ッ音…、立てるな…」
「無理無理、自分がカウパーだらだら垂らしてるからだろ?普通こんないっぱい出ないっしょ…」
スーツの襟首から伸びる首が赤く染まる。相澤はジョギングなど日常的に運動をこなしているためか細くはなかったが、日に焼けない青白い肌は羞恥を透かしてしまう。男はそれを可笑しそうに目に収め、漏らす先走りの量を僅かに増やした鈴口の周囲のすべすべとした敏感な薄い皮膚を親指の腹で苛めた。
「虐められると燃えるタイプ?」
男は容赦なく手の動きを早める。
(クソ、何で…)
相澤は体の芯を焼く射精欲求にうつむき、舌を噛んで耐えようとした。しかし先走りを潤滑油に竿を扱く男の手に意識も理性も奪い取られていく。グンと高まる射精直前の切迫感。精子を吐き出すために勝手にせり上がる睾丸。相澤がどれだけ堅固な理性を働かせても体が生理欲求に従おうとしてしまう。肉体の裏切りに、心が追いつかない。相澤は半ば無意識にスラックスの中で肉茎を扱いている男の腕を掴んでしまう。
「何…?イきそう?」
相澤は答えられなかった。やめろ、と言うのはルール違反だろう。射精を渇望し半開きになったままの唇は何も言えず、ただ僅かに悔しげに震えた。頭上で間延びした車掌の声が響き、間もなく駅に到着することを告げる。あと少し我慢すれば、この下らないゲームに勝つことが出来るのだ。しかし相澤は精の放出に焦がれた異常な興奮と緊張に支配されていた。
「ッ…!…ぅ、」
電車がホームに滑り込んでいく直前。相澤の竿が震え、生温かな精がほとばしった。あまりに多量なそれは、幹を扱く男の手を濡らし、いっぱいに引き延ばされた下着の布地に染み込み、ひたりと肌に不快に張り付かせる。幾筋かは睾丸の裏に向かって流れ込み、相澤が怖々と下を向けば飛沫はスラックスに鈍色のシミを作っていた。
(俺は、何を)
ぬぐえぬ吐精の痕跡、肌にまとわりつく生温い体液。現実に呆然とする本人を尻目に、最後のひとしずくまで搾り取ろうとするように男の指の手がにゅぐりと上下する。
「く、ぅ」
過敏な射精直後の肉茎を扱かれ、スラックスをまとう尻がひくつく。日頃の自慰よりもたっぷりと射精したにも関わらず、亀頭は小さな口を開いたまま未だ断続的に白濁を吐き出していた。
「スゲー…ドピュ、ドピュって…まだ出てくる」
男のからかいの声、嘲笑。これほど精を溜め込んでいた独り身のサラリーマンへの。電車の中で性器を扱かれこれほど感じてしまう変態性を意地悪く指摘するものでもあった。相澤の腰回りは通常の自慰では感じ得ない快感がまとわりついていた。下着に染み込んでねっとりと肌に絡む自らの精は不快だったが、淫蕩の後を引かせ、この非現実的な快楽にいつまでも浸かっていたいような気持ちを引き摺らせた。
そこに突如車両のドアが開き、乗り込んでくる人波が相澤に押し寄せた。現実という氷袋を、痴れた脳天にぶつけられる。
「ホラホラ、立ち止まるのは迷惑になるぜ」
「っ、おい」
二人がいたのは開いたドアのそばだ。男は相澤のスラックスを手早く直すと、脱力したその腰を抱えるように車内の奥に引き込む。窮屈な車内で身を屈めて乗り降りする人の流れを見送った二人は、元いたのとは反対側のドアの近くに辿り着いていた。相澤は先の停車駅をいくつか思い浮かべ、こちらのドアがしばらく開かないことに安堵する。否、安堵しかけて愕然とした。
「ゲームの約束覚えてる?」
◇ ◇
「電車だ…」
「気持ち良さそうに射精しといて今さらそんなこと言う?」
相澤の尻の間に当たる肉茎。男は囁き返して笑うと、指で押し開いた小さな窄まりを狙って圧をかける。薄いコンドームを纏っていることなどなんの気休めにもならず、肉がミチと捲り上げられる感覚に怖気が走る。自分の精液と男がどこからか取り出した使い切りのローションで入り口を濡らされ、指を数度抽挿されただけ。男を受け入れたこともなければ排泄器官以外に用途を考えもしなかったそこに押し入ろうとする男に、相澤は低い怒声を上げた。
「変態野郎が」
「どっちが?」
すげえギチギチ…、チンポねじ切れそう、と苦しげに、しかし異様にハイな調子で呟きながら、男はエラの張った亀頭を窄まりに押し入れた。無理に押し広げられる経験したことのない酷い圧迫感と鈍痛、受け入れがたい他人の体温に、無表情を貫こうとする相澤の頬がひくと揺れる。苦悶の顔も、声も、意地でも表に出さないつもりだった。
「…、…ッ…、…」
下腹部から時折聞こえる鈍い粘着質な音。使われたローションがやけにベトついたものだったことを思い出し、思考を冷やす。腹を穿つ重い衝撃を堪えようとしてもピストンに合わせてフゥ、はァ、と鼻息が漏れてしまう。シャツの下でじっとりと冷や汗が沸き、相澤の肌に染みつく。周囲の人間に息を乱すものなど誰もおらず、みな、静かに目的の駅までこの密閉された檻の中で息を潜めている。男が長いペニスを奥まで押し込んでくると腹の中が割り開かれる圧迫感で満ち、苦しさに呼吸が止まりそうになる。なのに、ずるりと引き抜かれる瞬間にゾクゾクとした背徳感に似た得体の知れ無い感覚が走った。排泄感に似た、だけどそれだけではないような。特にほとんど抜けかけた浅い部分を亀頭のエラにこすられると、電流が走ったように内壁がうねり、ヒクヒクと勝手に収縮する。体は冷たい緊張で強張るのに、全身の皮膚の下で熱が燻っている。
(何なんだ、これ)
公衆の真ん中で。見知らぬ男に排泄器官を犯され、心は憤怒と嫌悪を燻らせているのに。我が物顔で侵入したエラの張ったそれが表面の凹凸を引っ掻きながらずるりと抜けていくと、肉壁が勝手に動き吸い付いてしまう。まるで逃がすまいとするように、あるいは得体の知れない感覚を『もっと』と追い求めるように。相澤は早くなる吐息を殺そうと片手で口と鼻を覆った。
「すっげェ…名器…」
男の低い声が耳元で響く。耳障りな筈のそれに、鼓膜がひどく過敏になっている--スーツの襟から伸びた首筋が震えた。手が相澤の脇の間から前に回り、指先がワイシャツの胸の上を弄る。
(!?)
男が胸を弄られて感じるか、こんな異常な状況で--。相澤はそう思い眉間の皺を深めたが、悪戯な手は胸から離れない。薄いシャツの下の突起を探り当て、その上をしつこく周遊する。気に障るが、無視もできない感触。不意に電車がゴトン、と大きく音を立て揺れた。瞬間、胸の突起を爪先が引っ掻く。過敏な先端を走る痺れ。
「ッ!」
クッと締まった内壁に男が感じ入った息を漏らす。そのまま律動が早まった。探り当てられた突起を摘まれたまま、相澤は腹の中をゴツゴツと穿たれ、冷や汗が滲む。一度射精したはずの自分の性器がいつの間にか勃起していることに気付いていた。充血し、先ほどの吐精で湿った亀頭を皮の間から覗かせている。
(なんでだ)
(俺は、こんな)
自分への失望、嫌悪。なのに、勃起したペニスの中心からはまた先走りがトロリと透明な筋を作っている。それに気付くとまた息がハッハと獣のように早くなる。男にアナルを犯されながら、自分のペニスに触れたくなる。こんな、異常な状況なのに。
「触ったら?…気持ちいいぜ」
低く甘い声色。後ろから聞こえた、あくまのささやきだ。おまえの言うことなど聞くか、と相澤は思うが、指先は操られるように熱く猛ったペニスにかかる。いつもの自慰と同じ筈なのに、今日は竿の表面に触れただけで腰が痺れるほどの快感が走る。
(どうして)
相澤は疑問符でいっぱいになる思考をそのままに、敏感なカリを中心に手で覆う。いつもと同じやり方。あとは指をゆるく上下すれば、それだけで射精欲が膨れ上がるのを知っている。今日はきっと、脳が焼き切れそうな快楽と共に。
男が太く張り出した亀頭のかさで相澤の浅い部分をぐりぐりと抉った。途端、走った刺激の渦が背筋までせり上がる。神経を甘く、強く痺れさせるそれを、相澤はまだ快楽だと認めたくなかった。ただ、ひ、と漏れかけた声を堪え、震える息を吐き出す。思わず握りしめたペニスでは、指がゆっくりと上下し始めていた。
「…ぁ……、………っ、……」
絶対に声を出してはいけないのに、男のペニスであの浅みの一点をなじられると腰が震える。顎から力が抜け、固く閉じていたはずの唇が開いてしまう。喉の奥から上がってしまいそうになる声を、寸でのところで震える吐息に変えて…しかしピストンが早まればそれも間に合わない。肛門で快感を感じている自分に愕然とし、周囲を人で囲まれていることにさらに鼓動が忙しなく鳴り続ける。羞恥と緊張にまみれているのに、手は下半身で張り詰めるペニスを擦ってしまう。
(止められ、な)
先走りをとぷとぷと吐き出し続けるペニスの先端が充血し、ヒクッと震える。睾丸がきゅうと収縮してせり上がる、射精間近の感覚。ここまで来て止まれる男はいない。ただ熱の放出に焦がれるだけのおろかな獣だ。相澤の手の動きは早まり、擦過でちゅ、くちゅ、と静かな車内に淫らな音が響かせてしまっているという事実も遠のいていく。
「『電車で自慰する変態サラリーマン』って捕まっちゃうんじゃねーの、お兄さんの方が」
くっと男は笑い、駄目押しのように長く反り返ったペニスを最奥に突き込んだ。灼けるほど感度を増した粘膜を擦り上げられ奥の奥まで割り開かれる衝撃に息が止まり、相澤が喉を反らせる。白い喉仏の隆起がふるりと震える。閉じた目の奥でちらつく目眩に相澤が耐えていると、憩う時間など与えるつもりのない侵入者は間髪入れずに身を引く。みっちりと太く張り出したカリが残していく存在感。いつまでも終わらない長い、途方もない甘い排泄感。そしてあの、過敏な一点。ココで絶対に感じてはいけないはずの快感が引きずり出される。
「っ~~~~~、~~~~~ッ♡♡♡」
相澤の全身がぶるっと震え、手の中では多量の生温かい精液が溢れた。しかし男として射精欲が満ち足りたことよりも、後ろで得た快感が相澤を打ちのめし、全身を脱力させた。両手足の神経がぐずりと途切れ、よろめく。腰から駆け上がった快感は脳を灼き、思考は白らんでいた。まるで男が放出した精子に汚されたように。
相澤がよろめいたことで不審がる周囲が少しだけ間を開けた。幾本もの足が立つ床の僅かな隙間に尻をつきかけ、相澤は咄嗟に正気を取り戻した。手はスラックスに逸る。自分の精液が前面に染み、ベルトにも飛沫がこびりついているが、とにかくこの乱れを直さなければいけなかった。まだ先端を白濁に濡らし、くったりと曲線を描いて倒れている萎えたペニスを下着に押し込み、チャックを閉め、公衆の目に触れないように、早く、一刻も早く--。すると下を向いて焦る相澤の頬に、濡れた生温いものがひたりと触れた。
「…お掃除して」
顔を上げると、男がにっこり笑って相澤を見落ろしていた。まだ欲をちらつかせた碧の目で。相澤が怒りの言葉を紡ぐより早く、呆然としたその唇に濡れた先端が押し込まれる。剥がされたコンドームの匂い、そしてそれ以上に鼻腔に入り込んで神経を侵す色濃い精の匂い。眉を顰めた瞬間、カシャリと電子音が鳴った。自分に向けられた男のスマートフォンのカメラとその意味を、相澤はひどく遅れて認識した。
「相性最高だったじゃん。これから俺のオナホになってネ」
口に押し込まれたペニスがひくりと膨らんだ気配がした。と、同時に喉奥まで無遠慮に押し込まれる。精液の濃い匂いが鼻腔から目の裏、脳まで立ち上り、くらりとした。相澤は口からペニスを抜き去ろうと頭を引いたが、見透かしたように後頭部に落ちた手に押され、結果さらに深く銜え込むことになる。くっと硬さと長さを増して膨らんだペニスに穿たれる喉の粘膜。相澤は苦しさで細めた目で周囲を見回した。こんな混雑した車内で男一人の足下にかしづき、しかも性器を咥えさせられているという異常な状況…誰も気付かない筈はない。
「見られるのがイヤ?それとも誰かに助けてほしい?…大丈夫」
頭上から降る男の声はやけに暢気だった。
「この周りさぁ、みんな俺のダチなのよ実は」
相澤は目を見開いた。正面の男が何を言っているのか、分からなかった。しかし脱力した下半身で辛うじて留まるスラックスの開いた腰口を、誰かが後ろから引いた。車内に響く停止駅を読み上げる車掌の声は、終点までまだ先が長いことを告げていた。
「たっぷり楽しもうなァ♡」
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