恋人が和製スパ●ダーマンなもので(マイ相)

hrakマイ相

※全寮制になって相澤たちクラス担任が先に寮住まいを始め、マイクはまだ自宅設定

 

 

 

 

ちゅぷ、ぴちゃ…

ひざしは妙にエロティックな音に、意識を覚醒させた。唇が、ケダモノに舐められている。入り込む舌が、ゆるんだ口をこじ開けて口腔を這っていた。自分の上に圧し掛かりキスに夢中になる恋人に、起きたぜ、と伝えるためにひざしは腰に手を滑らせる。

「ひざし」

大きくはない黒目が、じっとひざしを見下ろす。

「ヤらせろ…」

唾液で濡れた唇が、暗闇の中でもぬらりと光っていた。人語というよりは呻り声に似た獣のことばだった。ひざしは一気に覚醒した脳で、唇の端を持ち上げる。

「寮の見回り終わったのか?」
「あぁ」

問いかけに対する返事は短く、それ以上の会話を拒否していた。
雄英が全寮制になって3週間。生徒とともに寮住まいをする担任教員は日付を超えた深夜に寮内を見回り、異常がなければ出入り口を施錠するのが日課だ。その一時間後には教員用の出入り口も自動的にロックされる、とひざしは聞いていた。

3週間前までは消太もこのベッドで共に眠っていたので、全寮制への移行は大きな環境の変化だった。消太だけでなく、ひざしにとっても。

元々お互い忙しく生活時間を合わせられないのでリスクを取っての同棲だった。だから最後に触れ合ったのも3週間前。消太が近場にピクニックに行くのかという程度の小さな荷物をまとめ終え、ベッドで交わった時以来だった。

3週間はヒトを獣にするのに十分だったらしい。
消太は邪魔な羽毛布団をはがし、ひざしの部屋着の腰ゴムをめくって顔を埋める。捕食の仕草で。まだ勃起していない性器を舐めあげ、柔らかな幹を吸い上げて急かすように顔を上下させる貪欲さに、ひざしは苦笑した。下半身に熱が集まるのは不可抗力だった。

「そんなウマそうに銜えられちゃすぐ勃つって…」

消太、と指先で手招きすると、四足の獣がするりと這ってやってくる。ひざしが頭を撫でるとその毛はひんやり冷たい。

「髪乾かないで来たの?ったくお前は…」

苦言は無視し、消太は焦れったそうにひざしの唇に噛み付く。手は自らのコスチュームに手をかけ、手荒に脱ぎ下ろしていた。贅肉の欠片もない締まった腰を黒い布地が滑り、狭苦しく押し込められていた性器がぶるりと顔を見せる。ひざしがその尻に手を伸ばすと入り口は粘液で滑り、中も同様だった。

「Ah…自分で慣らしたのかよ?」

入り込んだ指に、ふ、と短い息を漏らし、消太は頷いた。だからもういい、と低い声が急かす。ひざしはそれを聞きながら人差し指と中指を沈ませ、敏感な前立腺のふくらみを撫でさすった。

「ンッ、…ひざし、」
「ダーメ、焦んないの」

慣れた指にもてあそばれ、消太の腹筋がひくと揺れる。肉壁のうねりは繋がる感触を想起させ、ひざしの眼差しに欲が浮いた。飢えているのは自分も同じなのだ、下半身に急速に血が集まるのは当然だった。消太の手がその膨らみを探り、布地の中に入り込むと、早くしろと訴えるように荒っぽく扱いてくる。急ぎすぎ、と苦笑してその顔を見れば、うらめしげな瞳がうるりと熱っぽい膜を張ってひざしを見返した。

「ンなかわいい顔すんの…」

問いかけというよりは感嘆に近い言葉を吐き、消太の頬を撫でる。普段冷静で自分を一ミリも乱さぬ男がこんな顔をして縋ってくる姿に、興奮と少しの意地悪な気持ちが湧く。指でしつこく中をまさぐりながら、もう片方の手で胸の小さな突起を引っ掻けば、消太の背が大げさにしなった。元々感度がよかったが、これはあまりにも。

「…寮の中でオナニーしてねぇの?」
「ぅ、…どこに監視カメラがあるか、分かんねぇだろ、が…」

これほど消太が切羽詰まってる理由が分かり、ひざしの口元に好奇がにじむ。自慰をしたくてもできずに欲求を募らせる消太の姿を思い浮かべると、気の毒だが、可愛いという感情が勝ってしまう。
先端を濡らして勃起する消太の陰茎の奥に隠れた睾丸に手を伸ばす。重そうに垂れた丸みは、溜まった精ではち切れそうに張り詰めていた。

「うわぁ…パンパンじゃん…」
「っ…いってぇんだよ、触るなボケ」

消太が歯を剥き、本気で怒った顔をする。精が溜まり過ぎて過敏になっているのだ。ひざしの無情な指がそこを突き、ゆるく揉みしだくと、小さな悲鳴を上げて消太が腰を跳ねさせる。痛いのではなく、刺激が強すぎて快感を拾えないのだろう。本人が口でなんと言おうとその反応や表情からすべてが読み取れてしまう。ひざしは舌なめずりをし、消太の片腿の裏を掴んで足を開かせ、張りつめた陰囊に舌を這わせた。

「よせ、ぁ、っひゃ…!」

舌でその丸みを弄ぶように舐めあげれば、ひざしの手の中で消太の腿が震える。裏返った声を恥じたのか消太は唇を噛み締めたが、舌での愛撫と同時に内壁をまさぐられ漏れ出る声を抑えられない。唯一触られず放置された性器が、鈴口から先走りを滴らせ、はち切れそうにそびえていた。
ひ、と刺激の強さに跳ねる声。口元に絡まる湿った陰毛、むっとこもった性の匂い。ひざしが行為に没頭していると、伸びてきた手に強く頭を押しのけられ、強制的に中断させられる。
顔を上げれば消太は充血した目でうらめしげに睨み、ひざしを仰向けに押し倒した。むしるように部屋着のズボンと下着を脱がされ、その荒っぽさにひざしは笑う。しかし露になった性器は消太のものと同じく硬く反り上がっていた。
はぁはぁと湿った浅い吐息をこぼしながら、消太が自らの秘部にひざしの雄をあてがう。亀頭の先に触れた入り口が、期待に震えきゅうと収縮した。

「ぁ、ーーーーー…!く、………ン」
「ッ…は…」

ひざしは飲み込まれた肉の熱いうねりに、天井に向けて感嘆の息を吐く。頭の片隅で、あ、ゴム、と気づいたが、今の消太にはそんなことを気にかける余裕もないだろう。何よりもう遅い。

挿入の衝撃に俯いていた消太が、瞼を閉じた感じ入った表情を上げ、ひざしの言葉を待たずに動き始めた。ぐちゅ、ぐぷ、という粘性のにぶい音が沈黙に響き、空気をしめらせる。鍛え上げられた腿がひざしの腰をはさみ、肉欲をむさぼるだけのピストンが間断なく続く。うねる桃色の粘膜、腰使いの巧みさに飲み込まれ早々に達してしまいそうで、ひざしは目を細めた。

「消太、ンなガンガン腰振られたらイッちまうって…」
「はあ、ァ、はあ……ぁ…うる、せ、我慢しろ…、…」
「ったく棒かよオレは」

ひざしは起き上がると、消太の胸に指をからめ突起を摘む。消太の腿がびくりと震え、中が小刻みに蠕動した。

「…あ…あぁ……ぁ…、」

毛先がまばらに乱れた細い睫毛が、閉じ合わさったまぶたで揺れる。呆けたように開いたままの口はか細い喘ぎを上げ、快感の大きさを表していた。与えられた絶頂の波にひたる消太を眺めながら、ひざしは震える黒髪に手を伸ばした。

「あと何分で戻らなきゃならねぇの」

寮の教員用出入り口が施錠されてはアウトだ。ひざしの問いかけに、消太の潤んだ瞳がゆらりとベッドサイドの時計に向く。

「…はぁ……20、ぷん…」
「短ぇな」

ふーとため息を付くとひざしはそのまま目の前の体を押し倒した。シーツに転がりながら、再び自分で好きに腰を振るつもりだった消太は目を見開く。

「っ、おい、」
「分かってるって。仕事がんばってるセンセにちゃんとサーヴィスしてやるよ」

覆いかぶさったひざしは挿入したまま、顎ひげの途切れた首筋に軽く口付ける。唇を静かに移動させ、精悍な頬へ、普段隠れた小さな耳へ。リップ音に浸された消太はうっとうしそうに顔を背ける。欲しいのはそんな生易しい刺激ではないのだと訴えていた。ひざしは顔を上げたが、消太の表情をただじっと見下ろすだけで動きはしない。エメラルドグリーンに映る、欲深い顔。消太の中がひくり、と自然に動く。時間の経過とともに触れ合う粘膜が焦燥に燃え、感覚だけが鋭さを増した。

「ひ、ざし、…っ」
「ンン?勝手なことしてると抜いちまうぞ」

揺れだす腰をひざしに抑えられ、消太は唇を噛み締める。下腹部の熱が高まり、性器が一層硬さを増し、太ももの筋肉が刺激を求め筋張る。動かれてもいないのに消太の唇から漏れる息がはっはと早くなった。わずかな刺激を拾おうと粘膜が自然にきゅうと収縮し、硬い幹の肉感の強さに、消太のももが一人でに震えた。

「ぁっ…?…ぁ…あっ…」

消太の脳が浮遊感でいっぱいになる。しびれる指先がシーツを掴み、皺を作った。達したのだ、と消太は遅れて気づく。突かれてもいないのに、体内に息づくひざしのその存在だけで。
快感の余韻に無防備に舌をさらしていた口を、ひざしの唇が食んだ。終わりではなく、始まりの合図として。
ず、と急所をつく重さ。余韻に浸りきった下腹部に、深く怖いほど大きな快感が広がった。は、と開いた口が声もあげられずにいると、今度は舌がねじこまれる。

「ん、ーーっ、…んん、…ふ、」

舌を舌で転がされ、消太の口の端があふれた唾液で濡れる。結合部の律動も止まず、亀頭が急所を小刻みに攻める。下半身からぞくぞくとせりあがる快感に悶え、消太の手がひざしの背に絡んだ。力の入らない爪先はその表面で空を掻く。

「気持ちいい?消太…」

濡れた唇で尋ねたひざしは、消太の頭を手で掻き抱く。尋ねずとも赤味が差したとろけた表情をみれば、喉の奥から上がる重たい吐息と上擦った声を聞けば分かるのだ。それでもひざしはもう一度、なあ、と強欲に尋ねた。ぐじゅりと前立腺を穿ちながら。

「…は、ぁっ……いい………いっ、……きもち……」

こみあげた愛おしさにひざしは黒髪を掻き、まぶたに口付けた。固く閉じられていた両目がかすかに開き、暗闇に照る。止まない絶頂に眼差しはいっそ苦しげで、まなじりに溜まった涙を舌でさらってやる。
もっとどろどろになるほど追い詰めてやりたい、抱き潰したい…こみ上げて来る感情にひざしの脳がくらりとした。久々の抱擁を、自分も待ち望んでいたことを思い知る。限られた時間に、胸がちりちりと焦燥した。愛しい男の痴態を目に焼き付けたく、熱い息を吐きながら湿った黒い前髪をはらう。晒された形のいい白い額と、こめかみに口付けた。

「ン…そろそろ限界……イッていい?消太…」
「はぁ、…ぁ…あ゛、……ひっ……ぁ、……!」

耳元で囁けば、それだけで消太の腿がびくびくと揺れる。返事がないので耳に口付け、ショウタ、と呼び、もう一度唇で触れ、ちゅ、と音を鳴らす。さらに名を呼んでもう一度。鼓膜近くにまとわりつく湿った音とそのじれったい感触に耐えかね、消太の喉は酷く曖昧な音で返事をした。

「…お前は変なところで律儀だな」
「アン?戻るのに中では出せねぇだろ」

どこか不満げな呟きに返しながら、ひざしは消太の腹に散った2人分の精をウェットティッシュで拭った。シャワーを浴びれば精も名残惜しさも流してしまえるかもしれないが、そんな時間はなかった。

身を起こした消太はベッドに座ったまま、静かにため息を吐く。ひざしを受け入れていた下半身にまとわりつく余韻が重しとなり、シーツから離れがたくさせていた。まぶたが物憂げに瞬いたのはほんの一瞬。目敏いひざしはそれを見逃さず、顔を近付けた。
物寂しさをなだめる軽い口付け。
そういうのは別にいらん、と返したい筈の唇は開き、どちらともなく舌がゆるりと絡んでしまう。消太は衝動的にひざしの裸の肩を掴み、可愛げのない強さで爪を立てたが、やがて筋の浮いた手は力をなくし、離れた。

「…また来る」

捕縛布を巻き、黒いコスチュームで身を包んだ消太はひざしに背を向けた。もはや情事の名残をかけらも感じさせない凛々しさで。ひざしはその相も変らぬ理性の統制に感心したが、それ以上に消太の足が向いた先に驚いた。玄関ではなく、都会の夜景が映えるベランダだった。

「ちょ、待った消太。そっから出んのかよ?!!」
「エレベーターがちんたら遅ぇ。めんどくせぇしここから出たほうが早いだろ」
「イヤ、そりゃあ25階だからな!?昇降には時間かかるケド…ってマジで!?」

ひざしの言葉が終わるのを待たず、消太が窓を開け放つ。夜風が寝室に吹き込んだ。消太はベランダの柵に足をかけ、身軽に乗りあげると、首にかけていたゴーグルを目の上に引き上げた。
吹きつける強いビル風が、首に巻いた捕縛布を宙空に散らし、羽を形作る。心配無用だとその背が言っていた。ひざしも消太の身体能力は百も承知だった。
ゴーグルの奥の目は、次の目標地点である隣の低いビルを捕捉していた。猛禽類の正確さで彼はそこにたどり着き、巣へと戻るのだろう。ひざしは風に舞う髪を掻きながら消太の横に立ち、すっかり親鳥の顔に戻った恋人の表情を見上げる。

「ったく…。お前のそういうクレイジーなとこも好きだぜ」
「そうか。俺もだ」

月の光を薄く浴びた、人の悪い笑み。消太は恋人の網膜に置き土産を残し、夜に飛んだ。
ふわと舞った風にひざしが瞬き、目を開くと、そのわずかな時間に消太の体が躍り、少し低い隣のビルの屋上へ着地する。コンクリートの表面で受身を取り一回転して衝撃を吸収する様は見事で、ひざしは柵に肘を乗せ軽業を見物した。黒い背は捕縛布と身体能力を武器に跳ね、次のビルへ飛び移って次第に小さくなっていく。

「”俺もだ”ってナニ……。消太クーン…」

さして意味のない同調なのか、「好き」に対しての「俺もだ」なのか。
もう闇に融けて見えなくなってしまった背に向け、ひざしは呟く。
曖昧なのはわざとだろう、そう考えれば都合のいいように解釈してもいいかもしれない。ひざしはそう結論付け、素直でない恋人が爪あとをつけた肩を無意識に掻く。

「たまには甘い愛の言葉と熱烈なkissをセットで頂きたいもんだけどな~…」

まぁ世界が滅びるな、と思い直してひざしはベッドに入る。シーツの表面には、まだ消太のぬくもりが微かに残っているような気がした。事後に熱っぽい体をそっと抱き寄せるはずの手が、もの寂しげになめらかな布地を滑る。

(Hmm…しばらく夜はベランダの鍵を開けておくかなァ…)

治安維持を率先すべきヒーローにしてはあまりにも防犯意識が欠如している。警察に知られればお叱りを頂戴しそうな考えをまどろみに遊ばせながら、ひざしは目を閉じた。

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