2年分の辛抱(マイ相)

hrakマイ相

(※新婚初夜)

 

 

 

 

「俺が下でいい」
 披露宴、二次会、三次会を終えてホテルに戻って来た消太はパールホワイトのネクタイをほどきながら言った。ワックスで小綺麗にセットした髪を片手でくしゃりと崩す姿も様になってて、我が配偶者ながら痺れる格好良さだ。だから俺もついついお言葉に甘えたくなっちまうんだけど!
「けど疲れてるだろ?お前。朝仕事してたしよ~…」
 毛流れの乱れた黒髪に片手を伸ばして整えてやりながら俺は言った。こいつがそう言うのは何となく想像がついてた、いつも文句言いつつ負担の重い方をさらっと背負っちまう奴だから。消太は俺の下がった眉みて、小さく溜息をついた。
「お前が下だったらどうせギャーギャーうるさいだろ…大丈夫だから待ってろ」
 そう言うと消太は俺の手から離れ背広を椅子にかけると、さっさとバスルームに歩いていっちまった。
 嗚呼~~~~~神様、MY GOD、『どんな時でも支え合います』と神妙な顔で誓ったのに、また消太の強さに甘える俺を許してくれ。…だってウン、本当は消太を抱きたかった。だってサ、男の子だもの。

 俺がシャワーから戻ると、消太はバスローブ一枚で濡れた髪にバスタオルを被ったままベッドに座ってスマホを弄ってた。
「オーイ。髪乾かさねぇで何してんの」
 俺が近づくと消太は慌ててスマホ画面を消して枕元に放る。一体何を読んでたんだか?そう思いながら消太の被るバスタオルに手を伸ばして頭をワシワシと拭いてやる。
「早かったな…いつも長風呂なのに」
「そう?」
 結構時間かけたけどな…そう思いながら手を動かすが、急に空気が重くなったように感じた。俺の緊張が感染ったのか逆なのか、会話がぴたりと止まっちまった。ああ、どうしよ…いつもなんも考えなくてもペラペラ言葉が出る俺の口よ、どーした?よりによって消太相手に緊張するってどういうこったよ…誰よりも馬鹿話をしてきた相手だろーが?そう思ってると、消太が俺の手を掴んだ。バスタオルを毟り取られ、湿った布がベッドの上に適当に放られるのを見て、おいおいシーツが湿るぞとどうでもいいことに気をとられかけた俺のバスローブの胸ぐらを引っ張る手。消太の、どアップ。ちょっと目が潤んででチラチラ揺れ動いてて、耳は真っ赤で…。
「もういいから、…」
 しよう、と小さな呟きと同時に、消太が俺の唇を塞いだ。俺は胸突き破って心臓が飛び出そうになった。消太からの、初めてのセックスのお誘い。しかも「するぞ」じゃなくて、「しよう」?恥ずかしそうに語尾が消えたから、「しよう」っていうより「しよ…」って聞こえたし…イヤイヤイヤイヤイヤイヤ全てがキャパオーバーすぎて、俺は息が止まった。死にそうになった。可愛すぎんだろ、俺のダーリン?!茹でダコみてぇにこっちも顔を赤くしてると、消太は舌をそろりと差し入れて絡めてくる。俺が停止してるのでまだ乗り気じゃないと思ったのか、唇をより深く合わせてくる。落ち着き無く舌裏を舐めあげられ、舌先をちゅる…っと吸われると、どうにもたまらなくなる。
「ふ…、」
 消太が鼻先から甘い吐息を漏らした瞬間、俺はベッドにその体を押し倒した。シーツの上に仰向けになった消太が目を見開いてこっちを見たが、俺はなんも言う余裕がなく消太のバスローブの紐を手荒にほどいた。むっちりと筋肉のついた太ももと、膨れ上がったボクサーパンツ。俺がはち切れそうな布地の先っぽをじっと見下ろすと消太が恥ずかしそうに息を詰め、腕で顔を隠したのが分かった。
「消太…俺もだから」
 自分のバスローブをはだけさせて、完全に勃起してるソレを消太の太ももにぐっと押し当てる。下着の薄い布越しだけど弾けそうな熱は伝わったようで消太がぴくっと震えたのが分かった。
「…はやく来い」
 腕の下から目を少し覗かせ、消太が微かに上擦って掠れた声で呟いた。興奮を如実に示すその声色に俺の胸がまたうるさく音を立てる。苦しい。胸も下も。
「初めてだろ?ゆっくり時間かけさせてよ。まずはお前のことトロトロにしてぇの…」
 言いながら晒された消太の胸に唇を落とす。捕縛布を巻いて人2、3人をブン回す怪力を支える胸は柔らかいがしっかりした筋肉に覆われていて、俺は伴侶の相澤消太であると同時にヒーローのイレイザーヘッドを抱いてんだなと少し敬虔な気持ちになりながらキスを落とす。鎖骨の真下の膨らみの始まる位置から徐々に唇を移して、わざと音を立てながら…小さい小さい乳首へ。舌先でも包み込めてしまうようなその控えめな粒立ちに触れると、消太がハ…、と息を漏らした。気持ち良さってより動揺、って感じで。今まで俺達は下を握りあって抜きっこするくらいで、こんなことしたことなかったから。
「っ…男だぞ…」
 案の定消太は戸惑っているらしく腕の下から困惑する声が聞こえた。
「うん、けど…気持ちいいだろ?」
 舌先で突起をくすぐり、時々やさしく吸い上げながら返すと、消太が口ごもる。
「…、くすぐってぇよ…っ」
 けど俺の足下では消太のモノが硬く勃ち上がっている。同じ男として想像するだに、痛いくらいに。胸を吸いながら俺が下に手を伸ばしボクサーパンツの腰ゴムを少しめくってやると、押し上げられて限界だった布は勝手に跳ねて消太のペニスをふるんと露出させた。弾むように腹にくっつくほど勃ち上がったそれはもう先走りを垂らしていて、消太の腹筋にぬるりと濡れた雫を落とした。乳首を舌先で弄りながら手を伸ばして消太のペニスを握ると、目の前の肩が大袈裟に跳ねる。
「あっ…両方いっぺんに、すんな」
「消太は黙って気持ちよくなってろって…せっかくの初夜だろ?俺だって色々学んできたの」 今までお互い仕事が忙しいとか男同士は面倒くせぇとか、そんな理由で抜きっこで足りてるふりして本番に進まなかっただけで、欲求だけはたっぷり溜め込んでたんだ。本当言うと消太を抱く夢を見て何度も夢精してた。っつーか昨日もした。やっと今日こういうことが出来る、今までの欲求をぜんぶ晒してぶつけてもいい口実なりキッカケができる思ったせいで夢はピンク一色だ。で、鮮明に脳裏に残るその夢以上の光景が目の前にある…現実に目眩がする。と、マジで目眩のごとく俺の視界が反転した。
「…俺だって色々調べてた」
 消太が仰向けに転がされた俺の腿の上に乗ってた。ムスッとした口調で言い返したっきり、黙り込んだまま消太の指が俺の下着にかかる。さっきの消太と同じかそれ以上に、はち切れんばかりに伸びきっていた下着の布地が勢い良く落ちて俺のペニスが飛び出る。先端からはやっぱり恥ずかしい汁が糸を引いて腹に小さく溜まりを作った。消太は血管を浮かせて反り返った俺のペニスをじっと眺めると、腰を浮かせて跨がろうとする。
「ちょ、待った!!ストップ!!何も慣らしてねェだろ?!」
 俺の長くてそれなりに太さのあるペニスが消太のソコにどんだけ負担をかけるか、想像しなくても分かる。俺が慌てて制止すると、消太がじろりと見返した。一見不機嫌そうな眼差しだが少し潤んでピンクがかった瞳で。
「色々調べたって言ったろ?もうとっくに準備は済んでるんだ…合理的にいかせろ」
 消太は溜め込んだ何かの衝動が蠢いたように少し体を戦慄かせ、熱い溜息を吐いて言った。いつものように低いが、いつもと違う掠れたやらしい声で。
「ゴム…、」
 俺はベッドサイドに慌てて手を伸ばす。今日のために調べまくってネット通販でポチッたすげーいいコンドームを買っといたんだ。黒い高級感のある未開封の箱に俺の指先が届く瞬間、消太の手がそれを阻んだ。
「だから、合理的にいかせろ…」
 熱い吐息。黒い前髪の向こうで、消太の両眼がやけになめまかしく、光っていた。
「合理的にって、」
「…死ぬほど待ってた」
 消太は低い声の早口でそれだけ言うと、俺の手を掴んだまま腰を下ろした。トロトロに蕩けた温かい粘膜にぬぷりと包まれる。待ってた、の言葉通り切なくなるほど吸い付いてくるソコのいやらしさに、俺はソッコーで白旗を挙げた。…俺も待ってた。