※表紙はれー油さんに頂きました!
1.『ハメ撮り』
『ぁ、っ…あ…』
俺のパソコンのディスプレーで揺れる消太のエッロい姿。いつもイヤホンでコッソリ聴いてるけど、今日は低く掠れたあえぎ声が130万円の超高性能スピーカーから響く。生っぽい音が臨場感マシマシにしてたまらねー!
…ご本人が隣にいなければね。
「マイク。今生への別れは済んだか」
「イヤイヤちょっと待って、話そこから入んの?! ”どうしてこんなことしたんだ”、からじゃないの??」
「こそこそハメ撮りする奴に理由なんか聞いてもしょうがねぇだろ。時間は有限、歯が惜しけりゃ食いしばれ」
「いや顔はマジで勘弁。仕事が…」
「天下のボイスヒーロー様なら数発の殴打跡くらい笑いに変えられるだろ?」
「すすす、数発ゥ…?!」
仕事を家に持ち帰ってきた消太のパソコンが調子悪いからって、安易に自分のマシンを貸すんじゃなかった。つーか隠しフォルダどうやって見つけたんだよこえーな。
「ハメ撮りの手口だけは聞いてやる。話せ」
「アイカメラってヤツ。見た目も薄さもコンタクトレンズと同じ、目に入れて撮影できるアレ…」
「あれは元々ヴィランの姿形を記録して追尾に使うためのモンだろうが。ヒーロー用の先端技術をくだらないことに使いやがってテメェ…」
『はっ、…ァ、ひざ…し、ひざし、ぅ、』
俺を受け入れながらすがりついてくる消太のドアップがスケベで思わず画面に目が行く。これは俺のコレクションの中でもベスト10に入る、素直なホロ酔い消太くんのハメ動画。首筋舐めるだけで髪乱して鳴くのに、酔いのせいかうまく射精できなくてグズる消太が最高だった…モチロン感度も最高だった…と俺が回想にふけっていると、ブン、と急に画面が真っ暗になる。見れば真っ赤な顔の消太が電源コードの先を握っていた。
「ア゛ーーーーーッ!!!データ飛んだらどうすんノォ?!!」
「知るか。全部消えちまえ、クソったれ」
「ひっでぇことするぜ…まあインスタにバックアップあるからいいけど、あっ」
「ア゛!?テメェネット上にアップロードしてんのか?」
「ひ、非公開のアカウントな!誰も見れねーようにしてるよそりゃ…」
「信じられねぇ…今すぐ消せ」
「けどオナニーどうすりゃいいわけ? 忙しいからセックス月2回位しか出来てねーのにさ。女のAV観てヌけっての? 消太くんオカズにしてる俺の方がよっぽどケナゲで愛にあふれてると思わない?」
「…盗撮しといて威張るな」
「オーケーじゃ今度から許可制な…『ハメ撮りさせて下さい』って事前に言うわ」
「許可するかよバカ」
「じゃあ女のAV観てヌけって?」
消太の口がぎゅうとゆがむ。悪いが本気出したら口喧嘩じゃ俺の方が上だ。即答即決の合理男にしては珍しい、3秒の沈黙。
「…ッ、勝手なんだよお前は!」
ゴン、とパソコンのデスクを叩く拳。ゴリラパンチ。怖い。
「勝手って何よ」
「お前はチンコしごいてイけば満足できるかもしれねぇが、俺は…」
消太はそこまで言って黙った。みるみる間に表情から怒気が抜けていく。っていうより、ヌケてる顔。呆然とした、『言っちまった』って顔だ。
俺はそれを見ながら、消太とセックスを重ねてきたこの10年の重さに思いを馳せた。10年、か…。
「…………」
「…………」
「アノー…とりあえずベッド行く?」
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