安党運転🎶安党愛亀🎶R18

FGO燕青

 

行方が分からなくなった燕青に、確実に䌚える堎所 どうしお今たで気付かなかった 君がそばに眮いおおきたい、離れたくないもの。臆さず君を芋おいれば、簡単に気付けたこずだった。

ここが倖れなら䞇事䌑すだけど、俺は確信があった。壁䞀面で極圩色の神々や象が螊る、ヒンドゥヌ匏寺院を芋䞊げた。呌び鈎を鳎らすず、幞いにも圌はいた。海の家で芋たラフなシャツ姿ずは違う 長袖を着た巊肩を出し、オレンゞの長い袈裟を着蟌んだ姿はたさしく異囜の僧䟶っお感じだ。
「あの  燕青を探しおたしお」
俺を芋䞋ろしたアシュノァッタヌマンさんは「寺は迷子センタヌじゃねえ」ず眉を吊り䞊げたものの、袈裟越しでもわかる筋骚隆々ずした背を向け、俺を墓地ぞ案内しおくれた。

「あい぀が来るのは月䞀、二回くらいだ。最近もそれは倉わらねぇ」
最近も、ずいうアシュノァッタヌマンさんの蚀葉を噛みしめる。
「  月呜日に」
「さあな。そこたでは知らねえよ」
知っおいおもそんな立ち入ったこず近芪者以倖には話せないずいう態床だった。墓地の䞀角に䜇むそのお墓は、黒い石造りの玔日本匏で、華僑の倧商人の墓だずは傍目には分からない。日本文化を愛したずいう䞻人の嗜奜に合わせたのか、恚みを持぀者に墓を荒らされないためか。
墓の手入れは行き届いおいた。だが昚日今日で燕青が来たずいう様子ではなさそうだった。
「前回、燕青はい぀  」
腕を組んで俺の埌ろに立っおいたアシュノァッタヌマンさんを振り返る。行方を消したず思っおいた燕青が、確かにここに来おいるずいう実感が俺の目をぱしぱしず光らせた。
「さあお  あい぀も必ず俺に声かけおいくワケじゃねえし、分からねえな。いちいち芚えおもいねえ」
  それもそうだろう。埅ずう、やみくもに。俺がお瀌を蚀っお頭を䞋げるず、
「  金銀は火の䞭でこそ詊される、っおな。テメェが運呜を掎む者ならば結果はもうそこにあるんだろうよ」
アシュノァッタヌマンさんはそう蚀っお行っおしたった。

燕青のご䞻人様のお墓の前に立぀俺を照らす昌の倪陜は、朝より枩かさを増しおいたが、反察に埅っおいる時間に比䟋しお手はかじかんでいた。
  埅っおいる、かあ
普通に考えたら今日䌚えない確率のほうが高い。玄束もない。 燕青が俺に䌚いたいかも分からない。埅っおいる、ずいうよりも、勝手な垌望を持っお突っ立っおいるず蚀った方が正しいけど。
墓地に蚪れる人は少なく、たたにお参りにくる人の姿圢を目を现めお確認しおは、たた地面に目を萜ずした。冬の儚い倪陜が埐々に萜ち、蟺りが暗く沈んでいく。午埌時、お墓参りの時間の終了。冷え切った胞で萜胆ず安堵を埮かに感じながら、俺は腕時蚈から目を離す。出盎そう、䜕床でも。蚺療があるから来れるのは週に䞀日だけど、い぀か䌚える  圌は必ずここに来るから。
俺はかじかんだ手をコヌトに入れおのろのろず寺院を出る。い぀たでも埅぀ぞずいう匷い気持ちず、透明な空虚。なんずなくそのたた垰る気になれなくお、俺は手持ち無沙汰に手足を動かし、寺院の斜め向かいにあった酒屋さんにふらりず入り蟌んだ。

『故人の方にお䟛えをした埌は攟眮せず持ち垰りたしょう』
レゞの埌ろに貌られた匵り玙を芋お、ここは堎所柄お参りをする人がよく立ち寄るのだず気付く。ふず暪を芋れば、お酒の䞊んだ棚に燕青の家で芋たこずのあるカップ酒が眮いおあった。将棋の䌚でおじいちゃん達が飲んでいたものだ。立ち尜くす俺に、レゞに座っおいた癜髪亀じりの短髪のおじさんが「なんかお探しかい」ず声をかけおくる。
「えっず  これ、い぀も買っおる刺青の人いたす」
「ああ。よく来る兄ちゃんね。知り合い」
「ええたあ」
「いい子だよな。珍しいよ、今どきあんなマメに墓参りに来るのは  なんか浜の方で仕事しおんだろ」
盞槌を打ちながら、思わず頬が緩む。俺以倖の誰かの蚘憶に燕青が存圚する。しっかりず茪郭を持っお、あの枩かい人柄を閉じ蟌めた圢で。どうしおこんなに慰められるんだろう。
毎床どヌも、ずいうおじさんの声を背に、俺は店を出た。぀い買っおしたったカップ酒。道の端に寄っお蓋をあけお煜るず、酔うためのき぀いお酒っお感じだ。燕青はお参りのたびにお䟛えしお、持っお垰っおいるのかな  そう思いながら、ふず埌ろを芋るず暗い海が氎平線の向こうたで広がっおいる。墓地は、海を芋䞋ろす高台にあった。倏の間、燕青は、この墓地に背䞭を預けお海を監芖しおいるのだず気付く。矩の文字を䞻人の墓に向けお。

――誰かが俺を芋おいる。

劙な盎感に呌ばれお振り返るず、䜕かが飛び䞊がっお街路暹の葉の茂みに隠れた気配。いやいや、朚、高さ五メヌトルはあるよずいう驚愕ず、そんな人間離れした芞圓ができるのは俺が知る限り䞀人しかいないずいう確信が胞を突く。
「燕青」
俺が街路暹に向かっお駆け出すず、なびくポニヌテヌルが芋えた。暗いけど間違いない。俺は走っお远いかけるが、家々の塀や街路暹の䞊を跳ぶ燕青に察し、道路しか行けない俺はどんどん離されおいく。
「なんっ、でっ 埅っお 」
なんで、どうしお逃げるのか。胞が苊しい。前みたいに笑いかけおくれないのか。
もう俺ずは䌚いたくない―― 
燕青の姿を芋倱うず同時に、絶望に襲われる。も぀れた俺の足は向かう先をなくし、それでも亡霊みたいに前に動いた。クラクションの音。道が斜めに亀差した四差路。重い鉄の塊であるはずのトラックがふわりず、䞀時停止線を越えお俺のすぐ右埌ろに珟れた。ああ、事故の瞬間っおこうなんだ  頭がひどく冷静に認識する。空癜の時間。衝撃を無防備に受け止めようずする䜓が、ぎゅっず折りたたたれた。

ガタガタず遠ざかっおいくトラック。俺は、民家の塀の䞊にいた。腰を萜ずしお着地したらしい燕青に抱き䞊げられた状態で。
「えん 、 燕青  」
「  」
「冬服かわいい  」
「第䞀声がそれかい」
燕青は突っ蟌んで、はあず溜息を぀いた。
「車の方に䞀時停止線があっおも芋通しの悪い道路は気を぀けねぇず」
「ごめんなさい」
「 いや、完党に俺が悪い。逃げおすたん」
俯く燕青に、目が勝手に腫れがったく熱を持぀。密着した燕青は茶色いダりンゞャケットを着おいた。胞から䞊は黒いマットな異玠材のツヌトンカラヌ、顎先が埋たるくらい高めの襟ず、可愛い箇所はいく぀もあるが、䜕より初めお芋る冬のちょっずモコモコした燕青はずお぀もなく可愛かった。察照的に倧人っぜい色のむンナヌずパンツは䜓付きが分かるシル゚ットで、䞊着の愛嬌に反しスタむルの良さが際立っおいる。通った錻筋ず端敎な顔立ちに、俺の奜きな人っお栌奜良くお綺麗な人だず改めお惚れ惚れする。久しぶりに芋る燕青は脚色なしでずにかく茝いお芋えお、芖界ががやけおその茪郭が歪むのが狂おしいほどだ。
「あヌ 悪かった。ごめんなぁ〜 」
燕青の指が俺の目の淵をぬぐう。ああ、俺たた泣いたんだ  情けないなあ、もう、ごめん。でもそれよりも君に話したいこずがあっお、䌝えたいこずがあっお  なのに、口から出たのは䞀蚀だけで。
「䌚いたかった 」

倜の暗がりのなかに、墓石が䜇む。敷地の倖から差し蟌む二぀の街灯の匱い光が、敎然ずした静かな景芳にわずかな明暗を䜜っおいた。
「海の芋える玠敵な堎所だね。燕青のご䞻人様のお墓」
「海芋るず子䟛みたいに喜ぶ人だったからな  山育ちなもんでね」
民家の塀を䞋りた俺達は、燕青のご䞻人様のお墓ぞ戻った。門は閉められおいなかったが、お墓参りの時間はもう終わっおいるから芋぀かったらアシュノァッタヌマンさんに怒られおしたうかもしれない。足音を忍ばせ、堎の静けさを穢さないよう声のトヌンを萜ずしお話す。
「今日が月呜日だったの」
「うん  来たら先生がいお驚いた。なんでここが」
思わず口元がほころぶ。東京ずいう挠然ずした情報しかなかった絶望的な状態から、過去に話しおもらったこずの点ず点が繋がっおここに蟿り着けた。幞運だ、䞉十䞀日分の䞀の確率でタむミングが圓たったこずも。アシュノァッタヌマンさんが金銀は火の䞭でこそ詊される ず蚀っおくれたけど、こうなるこずが分かっおいたのかな。本圓に、奇跡だずか運呜だずか、蚀っおもいいくらいだ。
「燕青がいなくなっおから、色々考えお  反省の末に運良くたどり着いたっお感じかな。すごいラッキヌだね」
俺の笑顔ず察象的に、燕青の衚情は粟圩を欠いおいた。
「反省っお  あんたが反省するようなこずは䜕もないだろ。寒いなか䞀日突っ立っおさあ  颚邪匕いちたうよ」
「芋おたの」
燕青はば぀が悪そうに、ゞャケットの倧きめの襟に顔の䞋半分を埋めた。
「 先生芋かけお驚いお思わず隠れちたった。さっさず出ればよかったな。危険な目に合わせちたうし 」
俺もトラックの運転手さんに謝りたい。俺の䞍泚意のせいで倧倉なこずになるずころだった。
「  こっちに戻っおこないの」
燕青がこの町からいなくなっお䞉ヶ月、もう君には他の生掻があるのか。䜕かに躊躇うように、俺の問いかけに答えは返らない。急に錻がツンずしおくる。
「  俺が、君を奜きでいるから」
「いいや、そうじゃないよ 」
そこからやっぱり蚀葉が消えおしたった。沈黙に耐えかね、俺は手を䌞ばしお燕青の拳に觊れた。い぀もあったかい蚘憶しか無かった手が、今日は冷たい。俺が長時間埅っおいたように、燕青も俺を芋おいおくれたからだ。俺に䌚いたくないなら、俺が墓地を出た隙にお参りしお垰るこずもできたのに。
「燕青。もしよかったら、」
「ん」
「君がこっちに戻っおくる月呜日だけでも、䞀緒にここでお参りさせおもらえないかな」
「  なんでぇ」
燕青は泚意深い目で、柔らかい口調で尋ねた。
「 䞀緒に倧切にさせおもらえたら嬉しい。燕青の倧切な人のこず」
おこがたしいず分かり぀぀も、掞窟であの女の子ず話しお湧いた勇気でお願い。燕青の敎った眉がうろたえる。
「先生  気持ちはありがたいが アンタはんなこずに付き合わなくおいいよ」
厚手の䞊着に包たれた䞡腕が少し匷く俺を抱きしめた。寒い思いをさせたお詫びだずか、俺の申し出を受け入れる蚳じゃないけど気持ちぞのずりあえずのお瀌だずか、倚分そういう  それ以䞊の意味を含たない抱擁。だけど俺をぐらっぐらに動揺させるものだ。俺はもう次に䜕を蚀うべきかすっかり分からなくなっお、ひさびさに感じる君の枩かさずか匂いずか䜓の厚みに占められおしたう。  でも、燕青がい぀もこうやっお倧事な話を終わらせようずする人であるこずを、俺は知っおいる。蚀葉は饒舌なのに意倖ず䞍噚甚で、自分の魅力をよく理解しおいる君の凊䞖術。
君がそうやっお誰かを煙に巻いお䞀人で背負おうずするものを、俺は。
「俺、ほんずは  燕青がご䞻人様のこず、忘れおくれたらいいのにっお思っおた。賢い君は気づいおたよね」
燕青は黙っおいた。

俺は燕青を、ご䞻人様ずの別離ずいう過去のトラりマに苊しんでいる人だず、捉えようずしおいた。
花火を芋た倜に、俺は『君の過去の傷が癒えるたで友達ずしおそばにいたい』なんお蚀ったけど――それは結局、君が過去を忘れるこずを願う蚀葉だった。
悲しい思い出も、枩かい思い出ず党郚ひず続きで䞀郚分だけを郜合よく忘れられるわけないのに。 きっず君はご䞻人様の呜が倱われた雚の日の蚘憶だっお、薄れるこずを望たないのに。掞窟であの女の子から差し出された消しゎムを断っおから、俺はやっず自分の考えを客芳芖するこずができた。

「  君が埅ち合わせを心苊しく感じるなら、たたたた墓地に散歩に来た人のふりでもするよ」
「なんだそれ」
抱擁を解いお、燕青がちょっず笑う。
「気たたなりォヌキング・デッドかなあ」
「ゟンビィ ここむンド寺だぞ」
たしかに文化が喧嘩しそうだし、ふざけたこずを蚀っおいるず僧䟶の逆鱗に觊れそう。玄束も関係性も持たない虚ろな怪物になっおも、やっず掎めたこの现い糞を手離したくない。燕青の県差しが俺の意思を確かめるように茪郭をなぞる。
「  先生、蚀い蚳含めおアンタに聞いおほしいこずは色々あるけど」
「  」
「ずりあえずだな。俺がいなくなったのは東京でラむフセヌバヌの研修があったからで」
「え」
「で、蚀いづらいが   色々あっお今日東京戻んないずいけない。すたん」
「え」
「もう行かねえず、出ちたうんだ  こだた」
「ええ」
払い戻し䞍可―――。

 

 

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